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涼しい庭のつくり方

代表取締役 永田 勝健 自己紹介へ
2021/09/29(水) 家づくりのこと

 

 

家の中の暑さは、庭の作りと大いに関係があります。

 

特に気を付けたいのがウッドデッキを設置する場合です。

 

夏になると暑くて庭に出られないということが

起こる場合があります。

 

そこで夏でも涼しい庭にする、

快適ガーデンのアイデアをお伝えします。

 


 

◆涼しい庭はウッドデッキから

 

ひと昔前によく見かけた庭と言えば、一面に芝生を敷き詰め、

その周囲に低木や大木などの庭木をたくさん植える

といったプランでした。

 

せっかくの庭なのだから、緑をいっぱいにしたい

という思いがあったのでしょう。

 

所せましと様々な木を植えたものです。

 

最近は、芝生だったところは、

ウッドデッキやタイル、レンガになり、

樹木の種類もかなり絞ったデザイン目立ちます。

 

風通しがよさそうで、おしゃれではあるのですが、

緑の面積はかなり減った印象です。

 

また、ガーデニングプランでも草むしりや落ち葉の掃除が大変、

害虫駆除に手間が掛かる、蚊がわきやすいなどの理由で、

芝生や花壇、庭木を減らすケースが増えているそうです。

 

しかしこのようなガーデニングプランが、

家の中の暑さの原因になっている可能性があります。

 

特に多いのが、夏になるとウッドデッキが暑い、

庭に出られないという声です。

 

そこで実際のところ、炎天下のウッドデッキは

どれくらいの温度になっているのか、

放射温度計を使った例を紹介します。

 

放射温度計とは物の表面温度を測ることができる機械で、

炎天下のウッドデッキの温度を測りました。

 

気温は31度に対して、なんと60度を超えていました。

 

ちなみに床暖房の表面温度は約30度ですから、

いかに暑いかよくわかります。

 

 

◆庭が暑いと、家の中も暑くなる...

 

実はこのような庭の状況は、都市部で起きている

ヒートアイランド現象とよく似ています。

 

ヒートアイランド現象とは、郊外に比べて都市部の気温が

高くなることを言い、その原因のひとつに、

自然の土や緑を人工物で覆ってしまっていることがあげられます。

 

自然の土や緑は、水蒸気の放出によって

地面の表面温度を下げてくれます。

 

しかし人工物で覆われた地面は、水蒸気の放出が妨げられるので、

地面の温度を下げることができません。

 

しかもその人工物は太陽光によって熱せられることで蓄熱し、

その熱が大気を再加熱し、更に気温を上昇させます。

 

草木の生えた地面は、強い日差しを受けても、

水蒸気の蒸発で表面温度はそれほど上がらず、

その周辺では涼しい風が吹きます。

 

しかし人工物で覆われた地面は表面温度が上昇するので、

周辺がとても暑くなり、吹く風も涼しくないというわけです。

 

そして蓄熱した人工物が発する熱は「輻射熱」もしくは「放射熱」と呼ばれ、

これは床暖房やパネルヒーターと同じ原理です。

 

いくらエアコンを付けて室温を下げようとしても、

庭で巨大な床暖房があるような状態では、

家の中も涼しくならず、光熱費がかさんでしまう場合があります。

 

庭は風景というだけでなく、室内環境に大きな影響を与えています。

 

 

◆涼しい夏の庭づくりは「日本古来の知恵」を参考に

 

では家の中を涼しくする庭とはどんな庭でしょうか。

 

日本古来の庭づくりには、夏を涼しく過ごすための工夫が凝らされていました。

 

江戸時代の大名屋敷の庭園には、自然を模した山や森や池が作られ、

心和む空間であったとともに、庭の中で自然な対流が生まれ、

真夏の暑い日でも水辺に立つと、そよそよと涼風を感じられたと言います。

 

日本庭園では定番の苔も、地面の温度を下げるのに役立っていました。

 

昔の昭和の日本の民家では、庭に小さな池を作り、

まわりに草木を植えて木陰にし、

その水を冷たく保つ工夫をしている家が多かったです。

 

木陰や冷たい水辺を抜けて吹いてくる風は気持ちよく、

見た目にも涼感たっぷりでした。

 

また池には縁日ですくった金魚を入れ、ボウフラが沸くのを防ぎ、

冬になれば水を抜き、中に寒さに弱い植木鉢を入れて

ビニールをかぶせて簡易温室にする、というような生活の知恵もありました。

 

このような知恵は、今の暮らしの中にも

活かすことができます。

 

そこで現代の庭でも取り入れやすい、

暑い夏を涼しくする庭のポイントをご紹介します。

 

 

◆ウッドデッキに直射日光はNG!

 

暑い夏を涼しくするのポイント1つめは、人気アイテムである

ウッドデッキの対策です。

 

夏の直射日光が当たったウッドデッキの表面温度は

60度を超えることもあります。

 

これでは庭に巨大な床暖房があるようなものですから、

庭が暑いのはもちろん、家の中まで暑さを感じて当然です。

 

夏を涼しくする第一歩は、ウッドデッキの表面温度を上げないことです。

 

先ほど炎天下では60度を超えていた

ウッドデッキの表面温度ですが、

木陰になった部分で計測すると33.4度でした。

 

つまり涼しい庭にするために大切なことは、

ウッドデッキに直射日光を当てずに日かげにしておくことです。

 

これはレンガやモルタルを敷いた床面も同じです。

 

開閉式のオーニングなどの日よけを取り付けておけば、

それだけでも涼しい庭にすることができ、

家の中でも涼しく過ごすことができるようになります。

 

 

◆木陰づくりに人気な落葉樹は「ハナミズキ&ヒメシャラ」

 

庭を涼しくする2つめのポイントは、

庭に落葉樹を植えて木陰を作ることです。

 

落葉樹なら暑い夏は葉が茂って木陰を作ってくれ、

冬は葉が落ちるので日差しを遮ることがありません。

 

木陰を抜けて吹いてくる風は涼やかで気持ちがいいものです。

 

我が家のイメージアップを図る

シンボルツリーとして人気があるのは

ハナミズキやヒメシャラなどです。

 

 

◆涼しい庭づくりに欠かせない水辺づくり

 

暑い夏を涼しく過ごせる庭にするポイント3つめは、庭に水辺を作ることです。

 

手軽に涼感を演出できるのが、ビオトープです。

 

ビオトープとは水を張った大き目の鉢の中に、

水草やメダカなどを入れて、自然な環境を再現する空間のことです。

 鉢の中で自然循環を目指します。

 

ただし炎天下にそのまま置いておくと、

あっという間にバランスが崩れて水が腐ります。

 

ビオトープにも日よけを付けて、日陰にしておきましょう。

 

簡易な池を作るなら、成型池を地面に埋め込む方法もあります。

 

こちらはろ過装置などの水質管理が必要になるため、

少し大掛かりになります。

 

どちらにしても、水辺の周辺は木を植えて木陰にし、

水を冷たく保つ工夫をしておくことが涼しさの秘訣です。

 

 

◆保水タイルを敷いて朝夕に打ち水を!

 

4つめのポイントは、地面を冷やす工夫です。

 

植物の力は偉大ですから、芝生を植えておくのが

涼しい庭にするコツですが、そうはいっても

コンクリートのベランダやテラスに

芝生を敷くのは難しいもの、

また芝刈りや草むしりなど管理も大変です。

 

そんな時は、保水タイルを敷く方法があります。

 

保水タイルとは名前の通り、保水性があるタイルで、

打ち水+保水効果+気化熱によって

表面温度を下げる機能があります。

 

ただし炎天下に打ち水をすると、

湿度が上がってかえって不快になることがあります。

 

打ち水は、朝夕の気温が下がった時に行いましょう。

 

 

◆屋外の塗装部には遮熱塗料を

 

暑い庭を涼しくするポイント5つめは、遮熱塗料を使うことです。

 

例えば手すりや物置などは、直射日光が当たることで蓄熱し、

庭を更に暑くする原因になります。

 

そんな時は、表面温度を抑制する機能を持った

遮熱塗料を使用することで、約10度ほど下げることができます。

 

 

◆快適な夏の過ごし方は涼しい庭づくりから

 

このように家の中の暑さは、庭のつくりに大きく左右されます。

 

いくらエアコンの設定温度を下げても、庭に暑さの原因があると、

なかなか涼しくなりません。

 

まずは日差しのコントロールをして、夏が涼しい庭にしましょう。

 

それでは、また!!

 

 

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